第264回千代田チャリティ・コンサート
瞼の裏に浮かぶワンシーン
ロードショーの封切を待ちわびたあの時代
コンサート当日は晴れて、厚手のコートは日中はなくても過ごせそうな穏やかな一日となり、本年最後のコンサートに大勢のお客様に足を運んでいただきました。
今年は台風など自然災害が多くて、いまだに元の生活に戻れない方が大勢いらっしゃいます。亡くなられた方にご冥福をお祈り申し上げるとともに、一刻もはやい復興を願っております。
さて、今回はピアノの菅原知子さんをお迎えして、どなたにも思い出深い映画音楽をご堪能いただきました。菅原知子さんは今年で50周年を迎えた「ビリー・バンバン」の弟さん、進さんの奥様でもいらっしゃいます。
菅原さんは今回の映画音楽の演奏に向けて、演奏する曲の映画をすべてご覧になりました。そして、MCでの曲解説が実に懇切丁寧で、聴く者の感性をより豊かにしてくれたのではないかと思います。
そんな菅原さんの取り組みのおかげで、昔、映画をご覧になられた方も、あらためてそんな映画だったと記憶を新たにすることができ、思い出もより鮮明によみがえったのではないでしょうか。
「太陽がいっぱい」の演奏では、「わたしはチャレンジャーなので、ピアノ演奏ではじめて人を殺します。皆さん、ここで殺したんじゃないかと想像しながら聴いてみてください」と斬新な試みで演奏前からワクワクさせてくれるなど、とても意欲的な面を見せてくれました。夫の菅原進さんのご病気快癒をサポートするため、グルテンフリーのパン作りの講師の資格までとり教室まで開催、ビリー・バンバン50周年記念の絵本を作成し、さらにはアクセサリーまで製作販売されるなど、とにかく意欲的でパワフルな知子さんです。
映画音楽で癒やされる一方で、知子さんのエネルギッシュな様子に多くのお客様が元気をもらったように思います。
弊社会長 兼 社長の細田敏和も、大ファンであるイングリッド・バーグマンの主演した映画「カサブランカ」の「As Time Goes By」が聴けて大変喜んでおりました。細田同様、お客様も映画音楽を通して、当時の記憶が鮮明によみがえり、青春時代に戻れたかと思います。
そして、サプライズ!一部の後半で菅原進さんのご登場!計4曲も感動の名曲を歌ったいただきました。
名曲であることに加えて、年輪を重ねた進さんにしか出せない歌の素晴らしさが聴く者の胸を打ち、ハートに温かさが広がっていくような感動を覚えました。
進さんが歌い、知子さんがピアノ演奏をする、お互いに支え合って、助け合って、それらがひとつのハーモニー(調和)となっている。理想的なご夫婦の関係を見たように思います。音楽を通して愛を感じました。
まさに、クリスマスにふさわしい、素敵なコンサートでした。お客様も心の温まるクリスマスプレゼントをいただいたような気持ちでお帰りになられたのではないでしょうか。
本年もご支援賜り、厚く御礼申し上げます。来年も弊社チャリティコンサートにご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます。新年に元気にお目にかかりましょう!
フォトレポート
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菅原知子さんは、ビリー・バンバンの弟さん、進さんの奥様でいらっしゃいます。「何か手違いがございまして、ご案内にヴォーカルとありましたが、私は歌は歌いませんのでピアノだけ弾かせていただきます。本日のタイトルが映画音楽ということで、映画のストーリーにも触れながら進めさせて頂きたいと思います」。
1曲目は、1930年から20年間ほど活躍したアメリカのピアニスト、エディー・デューチンの伝記映画「愛情物語」からショパンのノクターンをアレンジしたもので「To Love Again」。
彼はピアニストとしては大成功をおさめましたが、結婚してまもなく最愛の妻を亡くします。息子を出産するときに亡くなったため、息子と向き合えなくなり、ピアノに打ち込みます。そのまま第二次世界大戦に入り出征。終戦後、息子が10歳になったときにやっと息子の元に帰ってきます。それぞれギクシャクした関係の溝がやっと埋まり、さぁこれからというときに、デューチンは白血病で余命わずかであることを知ります。ラストシーンで流れる曲で息子と連弾をします。
映画「カサブランカ」より「As Time Goes By(時の過ぎゆくままに)」。この映画は戦時中の悲しいお話しですが、この曲は「どんなに時代が流れようとも、変わらない大事なものがある、人を愛する気持ち、それはどんな世界においても喜んで受け入れてくれる」、そんなことを歌っています。
この映画は、弊社会長 兼 社長細田が大ファンの女優イングリッド・バーグマンがヒロインを演じています。ほんとうに素敵な曲です。
2曲目まではアメリカの曲でした。次に演奏するのはヨーロッパのものを3曲です。1番目は、アラン・ドロン主演のサスペンス映画「太陽がいっぱい」から同タイトル曲です。
菅原さんはよりサスペンスっぽい雰囲気がでるようにアレンジされたそうです。「弾き慣れていないので本当にサスペンスです」とジョークを交えながら、ストーリーも詳しく解説。アラン・ドロン演じる主人公トム・リプリーがアメリカの資産家から依頼を受けナポリに行った息子フィリップを連れ返す仕事を引き受けます。結局、横暴なフィリップを殺害し本人になりすまし、財産を横取りしようとします・・・。ナポリの美しい海、まぶしい太陽の光とは対照的にトムの心の闇が描かれています。
「わたしはチャレンジャーなので、ピアノ演奏ではじめて人を殺します。皆さん、ここで殺したんじゃないかと想像しながら聴いてみてください」と菅原さん。斬新な試みで演奏前からワクワクさせてくれます。
カトリーヌ・ドヌーブ主演の「シェルブールの雨傘」から同タイトル曲。
この映画は戦争で引き裂かれた男女の物語。結果的には男女ともにハッピーエンドとなるストーリーです。
戦争に行った彼ギイを待ちきれないカトリーヌ・ドヌーブ演ずるジェヌヴィエーヴは、彼の子供を身ごもっていましたが、目の前に現れた裕福で思いやりがあって、すごく優しくてという最高の男性と結婚してしまいます。戦地から帰ってきたギイも友人だった女性と結婚し、叔母の遺産を相続しこちらも裕福になります。
そんな二人偶然出逢い、「いま幸せかい?」、「ええ、幸せよ」と言葉を交わすシーン。そこで流れる曲です。ハッピーエンドですが、もの悲しさが見事に表現されています。
次の曲も戦争で引き裂かれてしまった男女のお話となります。映画「ひまわり」より同タイトル曲。
この映画で登場する女性は日本人好みの女性(ソフィア・ローレン演ずるジョヴァンナ)で、戦地に行った夫(マルチェロ・マストロヤンニ演ずるアントニオ)を待ち続けます。戦争が終わって待てども待てども戦地だったソ連から夫は帰ってきません。
ジョヴァンナは夫を探しにソ連まで行きますが、戦地で亡くなった兵士達が埋められている一面のひまわり畑に呆然と立ち尽くします。でも、夫は絶対生きていると信じて探し続けとうとう見つけます。しかし、彼は記憶を失っていて別の女性と結婚していました。二人はとうとう結ばれることはありませんでした。
映画「世界残酷物語」より「More」。タイトルはすごいですが、曲はとても明るい曲です。
この映画は動物の殺処分とか、原爆のために方向感覚を失ってしまった亀が産卵なのに海に戻れなくなってしまった等残酷な映像ばかりを集めたドキュメンタリー映画です。
こんな美しい大自然を壊すのはやめようというメッセージが込められています。ここで流れる曲が「More」で、世界で一番大きな愛を歌ったものです。アンディ・ウイリアムスが歌っていました。一部の菅原さんのピアノ演奏はここまでとなります。