第257回千代田チャリティ・コンサート

真の主役はパーカッション
柔らかな木の音色に包まれて

桜の季節も終わり、新緑に向けて季節が移り変わろうとしています。当日の天気は曇りではありましたが、北海道で夏日を迎えるなど、東京地方でも暖かな陽気となった過ごしやすい一日でした。
平成最後となりましたコンサートには、いつものように多くのお客様がお越しくださいました。

さて、今回はマリンバの岩見 玲奈さん、ピアノ・打楽器の田村 拓也さん、打楽器の池上 秀太さんの三名をお迎えし、打楽器の魅力を存分に楽しんでいただきました。マリンバの演奏に加えて、MCも担当された岩見 玲奈さんはとにかく明るくそしてパワフルでした。「音楽に元気をもらう」という表現がぴったりだったと思います。演奏曲は、たとえタイトルを知らなくても、わたしたちが子供の頃の運動会やイベントなどで聴いたことのあるもので、たとえばカバレフスキーやミーチャム作曲のものは、「ああ、これ知ってた!」と頷いてしまう楽曲でした。一方で、ヴァイオリンの超絶技巧で知られる『チャルダッシュ』や『ツィゴイネルワイゼン』なども今まで聴いたことのないマリンバによる演奏でとても新鮮でした。

日本の楽曲ということで、『桜の幻影』や『竹田の子守唄』も披露されましたが、これら日本の曲には優しい木の音色を出すマリンバの良さが発揮されていたように思います。岩見さんが、「マリンバの躍動感と木の音色を存分に味わっていただきます」と言っておられましたが、力強さと優しさを堪能できました。

第二部では、冒頭から西アフリカの民族楽器であるジャンベを使ってのパワフルな演奏で会場を圧倒します。
他にもタンバリン、池上さんのドラムセットと打楽器の魅力が味わえました。また、『アンダーソン・メドレー』では、ソリの鈴の音、タイプライターの音、壊れた時計の音など多彩な効果音、擬態音を駆使して曲に彩りが加えられ、まさに“音を楽しむ”音楽になっていたように思います。
『くまんばち』も田村さん編曲によるもので、3人によるマリンバの連弾もあり、かつブギーバージョンでも演奏されるなど、とにかくバリエーションに富んだ楽しい趣向が凝らしてありました。

弊社会長細田敏和が「ほんとうに楽しい演奏会でした!」と申しておりましたが、力強さと優しさをもったマリンバやその他打楽器の良さを知り尽くしている岩見さん、田村さん、池上さんの実力があったためであると思います。皆さんがとても明るくて、お客様にとにかく楽しんで貰おうとする気持ちに溢れていました。会場の皆さんと一緒に『浜辺の歌』を歌ったとき、お客様が大きな声で気持ちよく歌えたのも、三人の皆様が創った心地よい音楽空間があったおかげかと思います。

平成最後の締めくくりにふさわしいパワフルで優しさに満ちたコンサートでした。岩見さん、田村さん、池上さん、ありがとうございました。

 フォトレポート

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コンサートが始まりました。マリンバの岩見 玲奈さん、ピアノ・打楽器の田村 拓也さん、お二人による『道化師のギャロップ(カバレフスキー作曲)』の演奏です。カバレフスキーの書いたオペラ「道化師」の中で使われている曲です。小学校の頃の運動会などでよく掛かっている曲としてもおなじみです。

岩見玲奈さんから明るいご挨拶。「平成最後のコンサートということで、はりきって演奏したいと思います。一部はマリンバとピアノによる演奏でマリンバの躍動感と木の音色を存分に味わっていただきます。第二部は打楽器を含めてとても楽しい勢いのある音楽をお届けします」。一部は岩見玲奈さんと田村拓也さんのお二人の演奏となります。

次は『アメリカン・パトロール(ミーチャム作曲)』。この曲は兵隊さんが遠くからパレードをしてきて、私たちの前で大パレードを繰り広げて、また遠くへ去って行くという様子を描いたものです。

皆様よくご存じで、ヴァイオリンの超絶技巧でも有名な『チャルダッシュ(モンティ作曲)』をマリンバで演奏します。ロマ(ジプシー)の人々が酒場で踊ったりするときのハンガリーのリズムを描いたものです。また、「チャルダッシュ」はハンガリー語で「酒場」を意味するそうです。「民族の血を感じていただければと思います(岩見さん)」。

ピアノの田村さんにはいったんお休みいただいてマリンバのソロとなります。現在ではご高齢になられた安倍圭子さん作曲の『桜の幻影』を演奏します。安倍圭子さんは、日本のマリンバの技術の高さを世界に売って歩かれた方で、マリンバのオリジナル作品もたくさん残されています。岩見さんが大学一年生のときの国際マリンバコンクールの一次予選で演奏された曲でもあります。

いままでバチは2本使っていましたが、今度は4本使います。桜の木の下には赤鬼が埋まっていて、その赤鬼の血を吸っているから桜があんなにもきれいな花を咲かせるというお話しもあるそうです。そんな伝説も感じさせるようなミステリアスで素敵な曲です。

岩見さんがおそらく一番好きな曲と言われる『竹田の子守唄(横山菁児編曲)』を演奏します。ピアノとマリンバのための楽曲でオリジナルの作品です。

一部最後の曲となりました。『ツィゴイネルワイゼン(サラサーテ作曲)』。「ヴァイオリンは弦の移動で音の変化があります。マリンバの場合は大きいので移動の運動量が多くてきょうも大分痩せますね」と岩見さん。演奏後、大きな拍手を浴びる岩見さんと田村さん。

二部スタート。第二部から演奏に加わる打楽器担当の池上秀太さんを加えて三名の皆さんが会場の内と外から、ともに打楽器を叩きながらの入場です。曲は『オカバンゴ』。楽器は西アフリカの民族楽器で「ジャンベ」と言うそうです。体が思わず動き出してしまうようなリズム感に溢れています。

ジャンベのヘッドは普通は気候や湿度に関係なく安定した音を出せるので、プラスティックでできていますが、本来は動物の革でできています。その革は何でしょう?というクイズが出されました。正解は山羊の革でした。

次はタンバリン3台のみによる演奏です。曲は『プロポーサル』。「メロディーがなくてリズムだけの曲は演奏しているわたしたちも怖いです」と岩見さん。

三名の連弾によるマリンバ演奏です。映画「ティファニーで朝食を」から『ムーンリバー』。岩見さんのアレンジです。それぞれの位置で最適なマレット(バチ)で演奏します。

朝吹英一さんというマリンバの曲をたくさん書かれた方の曲で『走れマリンバ』を演奏します。朝吹さんは聞きやすいかわいらしい曲を編曲・作曲しています。この曲から池上さんのドラムセットが入ります。

曲は『くまんばち』。これを2バージョンでお送りします。1つ目は田村さん編曲による3人の連弾で、2つ目はかっこ良いブギーバージョンでとてもリズミカルで派手な曲です。

さて次は会場の皆さんとともに歌う『浜辺の歌』です。皆さんが大きな声で歌われていて、この曲を心から楽しまれているようでした。「日本の名作を大事にしていきたいと思います。そのような取り組みとしてわたしがティンパニー奏者を務めているオーケストラ“アンサンブル・トリプティーク”では、日本の作品のみ取り扱っています。有名な曲から皆様がご存じないような曲でも素敵な曲がたくさんあります。ご興味がありましたらぜひ聴いてください」と岩見さん。

最後の曲となりました。ルロイ・アンダーソンが作曲した『アンダーソンメドレー』です。5曲をメドレーにしました。1曲目は「ソリすべり」、2曲目は「踊る子猫」、3曲目は「タイプライター」、4曲目は「シンコペーテッド・クロック(壊れた時計)」、5曲目は「フィドル・ファドル」と続きます。それぞれの曲で池上さんが、ソリの鈴の音や、タイプライターの音、壊れた時計の音など効果音を出して曲に楽しく彩りを加えています。

弊社から花束贈呈の後、皆様からの拍手に応え、アンコールがなんと2曲もありました。1曲目は岩見さんがマリンバ・ソロ用に編曲した『ロンドンデリーの歌』、2曲目は『くまんばち』でした。とても元気になる楽しくて明るいコンサートでした。ありがとうございました。

弊社会長細田敏和より閉演のご挨拶。「ほんとうに楽しい演奏会でした。親しみやすい曲が多かったのでとても良かったと思います」。平成最後のコンサートはパワフルに楽しく締めくくることができたかと思います。令和になりましても、引き続き皆様のご支援のほどよろしくお願い申し上げます。