第188回千代田チャリティ・コンサート

壮麗な古典派ピアノ曲の調べ
炎のキーウィ・ピアニストが贈る‘ニューイヤーコンサート’

新年を迎えて初めてのコンサートは、前々日に交通機関に支障が出るほど降った雪がまだたくさん残っている、寒くまた足下のお悪い中、多くのお客様にお集まりいただき行われました。


お招きしたのはニュージーランド出身で日本で活動を展開されているピアニスト、パスカル・ハリスさん。ベートーベン、ブラームス、ショパンの曲のうち、日頃コンサートではあまりご披露しない重厚な曲を敢えて演奏して頂きました。よほど技巧派のピアニストでないと演奏しない曲も含めて、ある意味贅沢な演奏を味わうことができました。


司会者によれば、パスカルさんは日本語でメールのやり取りをしたり、また当日も曲の解説をご自身でされるなど日本語に堪能な一面もあり、皆さん驚かれていたようです。弊社社長細田がゆくゆくは「千代田ニューイヤーコンサート」として有名になるようにしたいと申しておりましたが、その魁けとなるようなクラシックコンサートだったのではないでしょうか。今年一年、当チャリティコンサートに対して引き続き皆様のご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 フォトレポート

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第188回コンサートのテーマは、「壮麗な古典はピアノ曲の調べ。炎のキーウィ・ピアニストが贈る‘ニューイヤーコンサート’」。

司会者よりご挨拶。日本語もOKというニュージーランドのピアニスト、パスカル・ハリスさんをお迎えしてのコンサートとなりました。今回は曲の演奏前に司会者が楽曲の説明をし、続いてパスカルさんがエピソードなどをご披露、そして演奏という流れです。

1曲目はベートーベンの「ソナタ第4番変ホ長調作品7」。「ベートーベンが26歳と若いときの自信と野心に溢れていたときの曲で、全体的に明るく活気に満ちた作品です」とパスカルさんの解説がありました。

第一楽章はファンファーレに近いソナタ形式、第二楽章は感情のこもったラルゴ、第三楽章は短調の中間部がついたダ・カーポ形式、第四楽章はロンドソナタ形式とのこと。

演奏中のパスカルさん。口でも何かリズムをとりながらピアノを弾かれているようでした。

活気に満ちた曲とご自身の解説にありましたように、躍動感のある弾き方をされるパスカルさん。

2曲目はブラームスの「間奏曲作品117第2番」。3つの間奏曲から構成。「人生の哀しみ、後悔を感ずる。繊細さが出ているしっとりした曲です」とパスカルさん。

ブラームスが1892年にピアノの独奏曲として作ったこの曲は、彼の晩年の小品の特徴を備えていて、比較的テンポがゆっくりとしたものになっています。

第一部最後の曲となるショパンの「バラード第1番ト短調作品23」。ショパンの初期の代表作で、1836年に出版された初めてのバラード曲です。

この曲はシューマンが最も好きなショパンの曲だそうです。「悲しい部分や勝利の気持などが入り交じったロマンティックな曲」とパスカルさん。

第二部のオープニングはベートーベンの「ソナタ第17番ニ短調作品31の2」。ベートーベンの弟子のシンドラーが曲の解釈について師匠に質問すると、シェイクスピアの「テンペストを読め」と言われたことから「テンペスト」として知られる有名なピアノソナタです(司会者)。

「すでに耳の病気に苦しんでいたベートーベンの苦悩と表れている、全体的に暗い感じの曲です」とパスカルさん。続いてブラームスの「間奏曲作品117番第3番」と続きます。


ショパンの「バラード第4番ヘ短調作品52」。ショパンの32歳の時の曲で、4曲あるバラードのうち最後に作られたもので、あらゆる技巧が尽くされ最も演奏が困難でかつ最高傑作とも言われる曲です。

「一番美しく、難しい曲でファンタジーな感じの曲です。10年後にはもっとうまく弾けるようになっているかもしれない」と謙虚なパスカルさん。技巧派のピアニストでないとコンサートでこの曲は弾かないそうです。


第二部が終わり、弊社よりパスカル・ハリスさんに花束贈呈です。

アンコールはブラームスの「3つの間奏曲第一番変ホ長調」。神秘的な雰囲気の作品と言われるようにしっとりと落ち着いた曲でした。

弊社社長細田よりご挨拶。「パスカルさんが普段コンサートでは弾かれない曲をご披露していただいたとのことで、そのような重厚な曲をじっくりと聴くのも大変よいものです」。