第248回千代田チャリティ・コンサート

音の息吹を感じつつ
指先が紡ぎ出す幽玄の響き

当日は夕方になって小雨になったものの、終日雨で蒸し暑い一日となりました。お足元が悪い中、たくさんのお客様にお越しいただきまして誠にありがとうございます。

さて、今宵は西村弘さんをお迎えして、クラシックギターならではの楽曲を味わっていただきました。ブラジルの作曲家ヴィラ・ロボス、メキシコの作曲家ポンセ、またスペインの作曲家フェルナンド・ソルなど、彼らがクラシックギターのために書いた、なかなか耳にすることができない名曲を聞くことができました。これも弊社のコンサートならではのことではないかと思います。コンサートの後半では、一転してわたしたちにもおなじみの曲も多く、コンサート全体を通して表情豊かなものとなったように思います。演奏の合間のMCでは、楽曲の背景となっている時代の説明もあって、わたしたちの理解が深まり、味わい深く演奏を楽しむことができました。

西村さんは、ヴァイオリン独奏曲「パッサカリア(ビーバー)」を演奏してくれましたが、このヴァイオリンの低音主題をギターで実現するために、なんと8弦ギターを作ってしまいました。淡々として、優しい印象の西村さんですが、ギターにかける情熱が如何ほどか物語っているのではないでしょうか。プロというのは凄いものだと感じました。

アンコール曲は、今回のコンサートで唯一の日本の歌で、東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」でした。「この曲を聴くと少し癒やされます」と言われる西村さん。決して風化させてはいけないと感じました。

弊社会長細田敏和より、皆様へ。「お陰様で、弊社は6月で創立60周年を迎えることができました。ありがとうございます。引き続きチャリティ・コンサートを続けていけるよう頑張ってまいりますので、変わらぬご支援の程よろしくお願い申し上げます」。

 フォトレポート

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第248回のテーマは、『音の息吹を感じつつ。指先が紡ぎ出す幽玄の響き』。

「早くも1年の半分が過ぎてしまいました。今回はギターリストの西村弘さんをお招きして、クラシックギターをお届けします。アコースティックな響きを存分にお楽しみいただければと思います(司会者)」。

コンサートが始まりました。はじめに西村弘さんより、クラシックギターについての説明がありました。ギターのヘコミの部分は、女性の体を模したなどと言われていますが、実はギターは元来弓で弾く楽器だったそうで、そのためのヘコミです。いまから百年くらい前に現在のような形になったそうです。

1曲目は、ブラジルの作曲家ヴィラ・ロボスが書いたクラシックギターのために作られた曲「プレリュード第1番第3番」。野性的な響きが特徴的な曲です。

次はメキシコの作曲家ポンセがクラッシックギターのために書いた曲「サラバンド」です。サラバンドは、バロック時代に流行したスペイン起源のゆっくりした曲です。実はスペインでは当時、サラバンドがエロティックなものだったせいか踊ることが禁止されていて、違反した者は5年間ガレー船の漕ぎ手にさせられたとか。

19世紀後半はブラームス、リスト、ドボルザークなどハンガリー音楽がブームとなっていた時代でした。遅いテンポと速いテンポのチャルダッシュは、皆さんよくご存じのものとしてはモンティ作曲のヴァイオリンによるものですが、今回お届けする「ハンガリー幻想曲(メルツ)」も後半同じような部分がでてきます。

次は18世紀の曲です。ボヘミアの作曲家ビーバーは、ヴァイオリンの名手で曲も沢山作りました。その中から、ヴァイオリン独奏曲「パッサカリア(ビーバー)」を演奏します。ヴァイオリンの低音主題を実現するために、西村さんはなんとこの曲を弾くために8弦ギターを作ったとのこと。もちろん、この8弦ギターでの演奏です。

ボサノバの父と言われるアントニオ・カルロス・ジョビンですが、若いときにはオペラも作っています。その一曲「皆があなたみたいなら」をお届けします。内容は、もしも皆があなたのようだったら、世界は平和で幸せなのにというものだそうです。

映画音楽が2曲続きます。「夏の日の恋(シュタイナー)」、そして「ひまわり(ヘンリー・マンシーニ)」。どちらも皆様ご存じの有名な曲ですね。

一部最後の曲となりました。「魔笛の主題による変奏曲(フェルナンド・ソル)」。スペインの作曲家でギター奏者であったフェルナンド・ソルが、モーツァルトの最後のオペラ「魔笛」の中から、有名な旋律を選んでクラシックギターのために変奏曲としたものです。ソルの代表曲となっています。

二部のスタートです。1曲目は、「主よ人の望みの喜びよ(バッハ)」。

アランフェス協奏曲の第2楽章を有名な旋律を使ってアレンジした「わが心のアランフェス(ロドリゴ)」をお届けします。この曲はフィギュアスケートなどでも使われています。

ここで1曲ジャズをということで、ピアニストのマル・ウォルドロンが亡くなった友人のために作った曲「レフトアローン」。ソロ用にアレンジしての演奏です。

弊社からのリクエストに応えていただきました。アメリカのギタリストであるリンゼイ作曲の「雨だれ」です。雨が落ちるのを音で描写したそうで、とても美しい曲です。続いての演奏は、ヘンツェという20世紀のドイツの作曲家の書いた「緑の木陰にて」。

本日最後の曲となりました。スペインのピアニストであるアルベニスが作った曲で「アストゥリアス」。アルベニスは小さい頃から天才と呼ばれ、密航してキューバに行くなど放浪癖もあったとか。

アンコール曲は、東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く(菅野ようこ)」。西村さんのご両親やお友達も被災されたそうです。「この曲を聴くと少し癒やされます(西村さん)」。奏でるギターの音色が会場の皆さんの心に優しく染み渡ったように思いました。演奏後、盛大な拍手を受ける西村さん。

弊社会長細田敏和より閉演のご挨拶。「久しぶりに聴く懐かしい曲があってとても良かったと思います。また、弊社はお陰様で6月で還暦、創立60周年を迎えることができました。ありがとうございます。コンサートの方でも皆様と一緒にお祝いする企画を考えております」。引き続き、皆様のご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。