第236回千代田チャリティ・コンサート

不思議な音色に包まれる
二つの伝統楽器が出会う旅

終日曇りで肌寒い一日となった当日ですが、日はすっかり延びてコンサートの始まる時間は本当に明るくなりました。また、今夜も数多くのお客様に足を運んでいただきました。

今夜のコンサートは、スロバキアの民族楽器フヤラ奏者にして三味線奏者でもあるマチェイ・コレニッチさんをお招きしました。皆さんがおそらく初めて聞くであろう楽器フヤラとオンツォカ、そして三味線の演奏。未体験の素晴らしい演奏が繰り広げられました。
コレニッチさんにとって、フヤラは「静」を表現するための楽器、三味線は「動」を表現するための楽器、そんな印象を受けました。これまでスロバキアの民族音楽はもとより、ロック、クラシックと幅広く音楽を演奏されてきたコレニッチさん。三味線による演奏は、これまで触れてきたすべての音楽を融合し、独特で新感覚なものとなっていると感じました。コレニッチさんの演奏は、スロバキアと日本の伝統楽器という既成の概念では捉えられない、あくまでコレニッチさんの中で存在するユニークなものだとの印象です。

コレニッチさんによれば、フヤラはメディテーション向けの楽器だそうです。確かに、空間の広がりを感ずる音色に思わず聞き入って、フヤラの音の世界に没入してしまいます。すると自分というものがなくなったような気持ちさえします。癒やされるべき対象さえなかったような気分。実はそれが癒やしなのかもしれないと演奏が終わったあとで、ふと思いました。コレニッチさんの演奏するフヤラの演奏は、既成の音楽の概念を越えて、直接人間の存在に響いてくるような不思議で癒やしの力をもったものでした。

弊社会長細田がジョークでフニャフニャになるほどすっかり癒やされたと申しておりましたが、コンサートが終わって、気がつくと、知らない間に癒やされていた、そんな気持ちになられたお客様も多かったのではないでしょうか。コレニッチさんの感性が音楽を通して癒やしを生んでいたのでしょう。癒やしの音楽に触れた2時間でした。想像を超えた演奏をありがとうございました。

 フォトレポート

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第236回のテーマは、「不思議な音色に包まれる。二つの伝統楽器が出会う旅」。

4月下旬に桜で有名な弘前城に行った司会者、桜は満開でしたがあいにくの雨だったとか。しかし、東京と青森で二度桜を楽しめて良かったですね。今回はスロバキアの民族楽器フヤラ奏者マチェイ・コレニッチさんをお招きしてコンサートです。

日本語で丁寧な挨拶から始まったコンサート。スロバキア出身のマチェイ・コレニッチさんは4年前に来日されました。国の面積が九州より小さいスロバキアは、山国で海はありません。スロバキアの民族楽器フヤラは、世界で一番大きな笛です。

1曲目は即興です。ほとんどのお客様がおそらく初めて聞くであろうフヤラの音色。不思議としかいいようのない音、未来的な尺八のような感じでいて、どこか懐かしい音色。これには癒やしのパワーがあると肌で感じました。

即興演奏が多いそうで、次の曲はスロバキアの山をイメージした軽快な曲です。

スロバキア、オーストラリア、アイルランド、そして今は日本に住んでいるコレニッチさん。様々な地域の音楽を聴いて、自分の音楽が影響を受けていくそうです。いつもは何人かで演奏され、太鼓担当の方がいるのですが、今回はマシンに太鼓を担当させます。この太鼓の音はインドの楽器だそうです。

一生懸命、日本語で曲の説明をするコレニッチさん。次はインドの曲で、夜の曲だそうです。悩みをすべて忘れるための曲とのこと。とても不思議な音色に癒やされます。魂の深淵に直接語りかけるような曲で、癒やされてそのまま寝入ってしまいそうな素敵な音楽です。

コレニッチさんは、オーストラリアではギターとベースでロックを、アイルランドの大学ではピアノでクラシック音楽を勉強。ただ、自分の心の音楽ではないと思っていたそうです。日本人の奥様から三味線を渡されて、インド三味線、アラビア三味線などコレニッチさんのスタイルを作り、来日してから青森で津軽三味線を勉強したそうです。次は楽器を替えて、三味線で「桜舞う」を演奏します。

一部はちょっとした手違いがあって、早めの休憩となりました。さて、後半開始です。まずはフヤラの演奏から。まるで空間が無限に広がっていくような、そんな壮大なイメージを感じさせます。解放感を感じ、聞いていてとても心地よい曲です。

次は三味線でインドの四千年前の曲を演奏します。三味線でインド音楽を聞くなんて誰しも初めての体験ではないでしょうか。まさに融合です。新鮮な体験です。

もうひとつコレニッチさんからスロバキアの楽器を披露していただきます。ここでクイズ。フヤラは穴が3つ、尺八は5つ、リコーダーは8つですが、この楽器はなんとゼロです。穴がありません。楽器の名称は「オンツォカ」と言います。驚きですね。

これまた未体験ゾーンの楽器です。オンツォカは息の強弱で音色を出します。お客様も驚かれていました。

フヤラは静かな音楽、メディテーション(瞑想)向けの音楽で使う楽器ですが、このオンツォカは仕事が終わった後、飲んだり踊ったりするときに使う楽器だそうです。お客様の手拍子と共に、オンツォカで楽しい曲の演奏です。

続けてオンツォカによるインド音楽の演奏です。これもまたコレニッチさん独特の世界を反映しているようです。

コレニッチさんは日本に来たとき、青森で半年間ほど農業のお手伝いをしていたそうです。次の曲はそんな青森の「リンゴ節」を三味線で演奏します。

さて今度は、一番有名な津軽の「じょんがら節」を演奏します。「難しい!頑張ります!」とコレニッチさん。皆さんの応援の拍手が起こります。

あっという間に最後の曲になりました。なんと!三味線による即興で「千代田テクノルチャリティコンサート節」だそうです!ありがとうございます。

アンコールは続けて2曲となります。1曲目は三味線でスロバキアの国歌の演奏です。2曲目は、「元気になる曲」ということで、皆さんも手拍子で大変盛り上がるエンディングとなりました。

弊社会長細田より閉演のご挨拶。「フヤラの演奏を聴いていましたら、すっかり癒やされて少し眠くなったようです。フニャフニャになりました」と日頃の疲れがとれてジョークが冴えておりました(笑)。マチェイ・コレニッチさん、素敵な未体験ゾーンの音楽をありがとうございました。