第222回千代田チャリティ・コンサート

情熱と情感の歌声に魅せられる
二人のソプラノによる歌の夜会

本当に寒い一日となりましたが、弊社近くの湯島天神では、梅まつりが始まっており、寒いといいながらも確実に一歩、一歩春の足音が近づいていることを実感いたします。


さて、今宵はソプラノ歌手の長島史枝さん、中村順子さんのお二人とピアノ伴奏に澤田美穂さんをお迎えしてのコンサートです。沖縄の民謡、日本の歌、ヘンデル、ロッシーニ、モーツァルト、ベッリーニそしてプッチーニのオペラの曲を独唱と二重唱で楽しんでいただきました。


久しぶりのオフマイクでのコンサート。お二人の生の声は美しくも迫力があり、何かいつものコンサートとは違う、その嬉しい違和感は耳で聴くのではなく体全体で聴いているから生じているのだと理解できました。そして、音楽の原点に立ち還ったような気がしました。考えてみれば、音楽の歴史の中でマイクが無かった時代のほうが圧倒的に長いわけで、本日のコンサートの形式こそが本来の音楽の姿なのでしょう。


また、歌は言葉とそしてその歌が生まれた背景を知ってこそ、歌の良さも分かります。オペラの歌は、まさにドラマ仕立てで物語の上に音楽が成立しています。そのことをよくお分かりのお二人の解説もまた、実に丁寧で聴く者に情景をイメージさせるのに充分過ぎるほどでした。


弊社会長細田が「多くを語らず感動を秘めて帰りたい」と申しておりましたのも、音楽の原点を感じさせるお二人の歌のおかげだったのではないでしょうか。長島史枝さん、中村順子さん、そして澤田美穂さん、ありがとうございました。

 フォトレポート

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第222回コンサートのテーマは、「情熱と情感の歌声に魅せられる。二人のソプラノによる歌の夜会」。

人間ドックに行ってきた司会者。恒例となりました結果報告です。結果はとても良好で体重も落ちたとか。「もう一度、“ジーパンと呼ばれるもの”を履く」のが目標とのこと。目標達成まで、もう間近ですね!

コンサートが始まりました。ソプラノの中村順子さんの「歌の夜会へようこそ!」とご挨拶ありました。まず日本の歌を7曲、初めの4曲は沖縄の歌で、そのうち1、2曲は沖縄の方言で歌います。

オープニング曲:てぃんさぐぬ花(沖縄民謡)、花ぬ風車(沖縄民謡)、童神(古謝美佐子 詩・ 佐原一哉 曲)。空に輝く星は数えようと思えば数えられるが、親の教えは数えられないといった内容があるなど、親の大切やお年寄りを大切に思う歌です。


引き続き沖縄の文化と自然を盛り込んだ曲で、芭蕉布(吉川安一 詩・普久原恒勇 曲)を中村順子さんと同じくソプラノの長島史枝さんとの二重唱でお届けします。

長島さんのソロで「宵待草(竹久夢二 詩・多 忠亮 曲)」。

長島さんのソロが続きます。曲は、「初恋(石川啄木 詩・越谷達之助 曲)」、そして「悲しくなったときは(寺山修司 詩・中田喜直 曲)」。

次はイタリアの二重唱を3曲続けて歌います。MCをされる長島さんの楽しく、詳しい解説で、私達もどんどん知識を深めていくことができます。このような解説のあるなしで随分楽しみ方も違ってくるような気がします。

最初はヘンデルのオペラから「涙の流れるままに(Lascia ch' io pianga / G.F.ヘンデル)」。辛い運命にただ涙するばかりという内容。本来はアリア(独唱)ですが二重唱にアレンジされています。NHKのTV小説「ちゅらさん」の挿入歌としても使われた曲ですので、ご存知の方も多いかもしれません。

ウイリアムテル、セビリアの理髪師などのオペラで有名なイタリアを代表する作曲家ロッシーニの二重唱曲で、「ヴェネツィアの競艇(La regata veneziana)」。人気を二分する二人の若者とそれを応援する人々の様子を歌った、軽やかで明るい雰囲気の曲です。

一部最後の曲。同じくロッシーニ作曲の「猫の二重唱(Duetto buffo di due gatti)」。歌詞は「ミャウ」だけという珍しい歌で、色々とシチュエーションを設定できますが、今回は猫の嫁と姑の設定です。猫の耳を付けて、途中で日本語で嫁姑間のコミカルなやり取りもあって、とても楽しい曲でした。

第二部はオペラからアリアと二重唱をお届けします。はじめは、W.A.モーツァルト作曲の「フィガロの結婚」より、「愛の神よ、聞きたまえ(Porgi, Amor!)」。第2幕伯爵夫人。伯爵夫人が度重なる夫の浮気に耐えきれず、彼の愛情を取り戻したいと愛の神に訴えます。

フィガロの結婚より「恋とはどんなものかしら(Voi che sapete)」。第2幕ケルビーノ。思春期にある小姓ケルビーノが憧れの伯爵夫人を前に、ときめきを歌に託します。

第3幕伯爵夫人とスザンナ。浮気者の伯爵に一泡吹かせようと、侍女スザンナに伯爵を逢い引きに誘い出すための手紙を書かせます。長島さんと中村さんの二重唱で。

次はV.ベッリーニ作曲のオペラ「清教徒」より「優しい声が私を呼んでいた」、そしてF.チレア作曲のオペラ「アドリアーナ・ルクプルール」より「私は創造の神の卑しい下僕」と2曲続きます。

再びベッリーニ作曲のオペラ「ノルマ」より「ごらんなさい、ノルマ(Mira, o Norma)」。中村さんと長島さんの二重唱となります。巫女ノルマが敵対するローマ総督との間に子供まで設けていた。国を裏切った後悔に苛まれ死を決意するが、侍女に「母として生きて欲しい」と説得される。この二人の友情が歌われます。

G.プッチーニ作曲のオペラ「蝶々夫人」より「ある晴れた日に(Un bel di vedremo)」。夫が本国から船に乗ってある晴れた日に帰ってくると何年も待ちわびる蝶々夫人。必ず夫ピンカートンは帰ってくる、なぜ信じないのと侍女スズキを叱る場面です。

「蝶々夫人」より「花の二重唱(Scuoti quella fronda di ciliegio)」。夫はもう帰ってくるはずだから、家中を季節の花で飾り立て喜んで迎えようと、侍女スズキと共に花を撒き散らします。


最後の曲は、同じく「蝶々夫人」より「さようなら、かわいい坊や(Tu, piccolo Iddio !)」。本国で結婚していたピンカートンが妻を伴い帰国。捨てられた我が子を差し出さざるを得なくなった身の上を恥じ、自害を決意。無邪気に甘える我が子に永遠の別れを告げる絶唱です。

アンコール曲は2曲。プッチーニのオペラ「ジャンニ・ スキッキ」(Gianni Schicchi)よりスキッキの娘ラウレッタが歌う「私のお父さん」をお二人の二重唱で 。そして、東日本大震災のときから聴く度に胸に染みる名曲「花は咲く」を会場の皆さんと一緒に歌って幕を閉じました。

弊社会長細田 敏和より閉演のご挨拶。「きょうはあまり話しをしないで、コンサートの感動を心に秘めて帰りたいと思います」とのこと。よい音楽を聴いた後は、いつも心にそっとしまいたくなるものですね。もう少しで春です。皆様風邪など引かぬよう健康にご留意下さい。