第216回千代田チャリティ・コンサート

いにしえの楽曲に想いを馳せる
さまざまな楽器編成による飽くなき挑戦

梅雨明け間近な猛暑の中、コンサート当日は多くのお客様にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。


第216回のコンサートにご出演いただくのは、古楽器のフルート、ラウテ(リュート)、ギターなどを用いてバロック音楽を中心に独自のアレンジで演奏活動を行っておられるユニット「シードルズ」です。フルートの朝倉みきらさん、ギター/ラウテ(リュート)の長谷川郁夫さんによる構成です。お二人ともフルートやギターなどの楽器の歴史、そして作曲家のバックグラウンドなどにも造詣が深く、曲間の解説ではとても勉強になりました。


誰もが知っている「グリーンスリーブス」は、吟遊詩人が100年かかってヨーロッパ中に広め、賛美歌までになったこと、アンコールで演奏された「アヴェマリア」は、スコットランド人の聖なるものへの畏れを詠んだ詩に、シューベルトが感動して曲をつけたことなど。言われてみれば、私たちが聞き及んでいる曲はただ単に昔から合ったとしか思っていなかったわけですが、それぞれに生きた人間が関わり、物語があったのだと、あらためて認識することができました。


お二人が第一部で使用した楽器は、バロックフルート/ロッテンブルグ作1750年頃・ブリュッセル、ラウテ(リュートのこと)/ハウザー1世製作1914年・ミュンヘン。第二部では、多鍵式フルート/モンツァーニ作1821年頃・ロンドン、ギター/パノルモ作1844年・ロンドンとなります。ギターの弦は、200年近く前と同じように羊の腸と絹糸を用いた弦で、長谷川さんが演奏されたとのことでお客様も驚かれていました。
お二人が楽器と音楽をこよなく愛していることが伝わって来ました。


弊社会長細田が「フルートの音色が何とも言えずやわらかくて、やさしい!」と申しておりましたが、フルートとラウテやギターによるバロック音楽にやさしく癒された二時間だったのではないでしょうか。
8月は勝手ながら夏休みをいただきます。猛暑ゆえ熱中症にはくれぐれもご用心のうえ、また9月には皆様と元気にお目にかかりましょう!
これまでのご支援ありがとうございました。

 フォトレポート

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第216回コンサートのテーマは、「いにしえの楽曲に想いを馳せる。さまざまな楽器編成による飽くなき挑戦」。

会社の同僚と遊泳注意の海に行き、波に呑まれてしまった司会者ですが、すっかり陽に焼けて元気に登場です。

シードルズの登場です。フルートの朝倉みきらさん(左)、ギターの長谷川郁夫さん(右)のお二人のユニットです。「音楽の種を蒔こうということでやっています(朝倉さん)」。今回使用する古楽器は、フルートは3種類、ギターは2種類だそうです。

1曲目は元々はチェンバロで演奏される曲で、フランス組曲第5番よりサラバンドとガヴォット(バッハ)。ほとんど踊れないくらいゆっくりしている「サラバンド」、そして少し速くてかわいい曲の「ガヴォット」。

2曲目はイギリスでよく歌われていたリュートソングで「涙のバヴァーヌ(ダウランド)」。ギター担当の長谷川さんの弾いている楽器は「ラウテ(リュートのこと)」と呼ばれるもので、400年前に使われていたものを1914年に復元したものだそうです。

朝倉さんのお誕生日に奥様がヤフオクで買ってプレゼントされたフルートを紹介。今から150年前くらいのもので、フルートを習い始める子供が使っていたと思われ、とても可愛い音がします。

曲はフランス古謡「ある日僕のクロリスは」(J.オトテール編)。そして、メヌエットとアリア「私を泣かせてください」(テレマン)。ヘンデルのメヌエットとアリア、2曲続けての演奏です。

長谷川さんがお持ちのラウテ(リュート)は、ドイツのハウザー1世という製作者が1914年に作ったものです。

イギリス民謡「グリーンスリーブス」(カッティング編)。有名な曲ですが、男の人が緑の袖の女性(実は娼婦)にふられて、おいおい泣くという歌だそうです。当時は100年くらいかかって吟遊詩人がヨーロッパ中に広め、賛美歌にまでなりました。リュートバージョンの演奏です。

第一部最後の曲は、シンフォニア(バッハ)。教会でお祈りのときに使う音楽をカンタータと言い、バッハのこのカンタータには、いつ死んでも神様の側に行けるから幸せであるとそんな思いが込められているのだそうです。とても静かで瞑想的な曲でした。演奏後、盛大な拍手に応えるお二人です。

第二部は、19世紀の楽器を使います。朝倉さんのフルートは、ロンドンでお店を開いていたイタリア人の手によるもの。長谷川さんギターは、1844年製で同様にロンドンで活躍していたイタリア人の作ったものです。

当時イタリアでとても流行った曲で、オペラ「秘密の結婚」序曲(チマローザ)を演奏。この曲の初めはモーツァルトの魔笛と同じなのですが、作曲者のチマローザが彼に敬意を表して使っているのだそうです。朝倉さん、長谷川さんのお二人でオーケストラの曲を演奏することになります。

フルートを吹く人がうまくなると必ず発表会などで演奏する曲です(朝倉さん)。「歌の翼に」幻想曲(メンデルスゾーン〜シュテックメスト)。

長谷川さんがお持ちのギターは、1844年ロンドンで作られたもの。ギターの大きさは現代のものより二回りほど小さいのですが、これが当時の標準的な大きさだったとか。また、当時の弦の素材は上の弦が羊の腸を縒ったもの、下の弦は絹糸から作られたものだそうです。そして、なんと今お手持ちのギターにも当時と同様の素材が使われています。

長谷川さんのギターソロ。とてもきれいな優しいエチュードで、練習曲「月光」(ソル)。

しっとりとした所で、皆様もよくご存知の名曲、「セレナーデ」(シューベルト)。

トルコ行進曲(モーツァルト)。トルコの軍楽隊のマネをした音楽なので、元々は無骨なリズムが入っていもの。モーツァルトはトルコの軍隊が一糸乱れず行進しているのを憧れの目で見ていたのではないでしょうか(朝倉さん)。そんなモーツァルトの時代のリズムでの演奏です。

ユーモレスク(ドヴォルザーク)。ドヴォルザークが故郷のボヘミアを列車で旅しているときに、列車の単調なリズムを聴いている内に浮かんできたメロディーが「ユーモレスク」だそうです。

弊社より花束贈呈。そして、アンコールは「アヴェマリア」(シューベルト)。詩はスコットランド人の書いたもので、普通の人には見えないものを見てしまった驚きや畏れを表しました。その詩に感動したシューベルトが曲をつけてこの曲となりました。

弊社会長 細田敏和より閉演のご挨拶。「フルートの音色が何とも言えずやわらかくて、やさしい!」とのこと。8月は当コンサートはお休みをいただきます。何かと超多忙な会長ですが、皆様も猛暑に充分ご留意頂き、また9月に元気にお目にかかりましょう!これまでのご支援、誠にありがとうございました。9月以降もよろしくお願い申し上げます。