第206回千代田チャリティ・コンサート

風が見える、波が見える
ハワイアンがもたらした魅惑の響き

今年は残暑もほとんどなく、コンサート当日はすっかり秋めいて、街のそこかしこで金木犀の香りが漂いはじめてまいりました。8月には夏休みをいただき、2ヶ月ぶりのコンサートです。


今宵のコンサートは、Trail Mixのお二人、マカラニさんとカリフソさんをお招きしハワイアンミュージックを披露していただきました。
メキシコのカウボーイがハワイに伝えたギターですが、チューニングまでは正確に伝えていなかったようで、家々に独自のチューニングが生まれ代々伝えられてきました。それが独特の和音を作り出すという「スラックキーギター」誕生へと繋がっていきます。
オープンチューニングとオープンチューニングの和音が共鳴し合って、波のようなサウンドとなっていく。それがハワイの海にマッチしているようで、まさにハワイならではの音楽の「素」となっているのが、スラックキーギターではないかと思います。


お二人の演奏と歌は、私たちが「これがハワイアンミュージック」と想像してきた音楽のイメージを超えた奥の深さを感じさせるものでした。曲毎にバックグラウンドにある歴史や伝統と文化、果ては民族間の繋がりまでも指摘してくださる蘊蓄溢れる解説もまた楽しませていただきました。


大らかで自由な雰囲気を持ったお二人の演奏と歌に、すっかりのびのびとリラックスして過ごせた2時間でした。Trail Mixの皆さん、ありがとうございました。

 フォトレポート

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第206回コンサートのテーマは、「風が見える、波が見える。ハワイアンがもたらした魅惑の響き」。

8月に夏休みをいただいた久しぶりのコンサート。「アロハ〜!」と元気に司会者のあいさつ。「日系三世、ハワイオアフ島出身高砂部屋」とは本人の弁。海が大好きという司会者は、アロハがお似合いです。

あらためて細田会長、山口社長以下役員の挨拶がありました。チャリティコンサートを続けていけるよう社業に邁進する旨決意表明がありました。皆様、よろしくお願い申し上げます。

Trail Mixのお二人の登場です。左からカリフソさん、マカラニさん。1曲目は「Blue Dolphin Song」。ちなみに、グループ名のTrail Mixは、ナッツとドライフルーツのミックスされたお菓子のことだそうです。

スラックキーギターのチューニングのお話し。弦をまったく押さえずに弾いた状態で和音になっているのがスラックキーギターで、チューニングは一般のギターとは異なり実に様々な名前の付いたものがあり、異なるチューニング同士で演奏すると共鳴し合って波が生まれるのだそうです。

カリフソさんから「イプ」と呼ばれるひょうたんの楽器説明がありました。これを手で叩く打楽器として使用します。

マカラニさんのおうちで栽培した瓢箪から作った「鼻笛」です。災いの元となる口では吹かず、鼻で吹くというユニークなもの。100年以上前のトラディショナルな歌で、「Hi`ilawe(ヒイラヴェ)」。

ハワイの歴史や文化にまで及ぶ丁寧な解説をされるマカラニさん。メキシコから来たカウボーイ(パニオロと呼ばれる)がハワイにギターを初めて伝えたそうです。カウボーイソングで曲は「Shamalita」。女性を意味するWahine(ワヒネ)とネーミングされたチューニングでカリフソさんが演奏します。

ハワイでは多くの日本人の方が今のハワイに貢献しており、美しい日本の文化がそのまま多く残っていると感じられるそうです。曲は「Kokoni Sachiari」。お客様が演奏に合わせて自然に歌われ、お二人とも大喜びでした。

次はさらに時代を下って観光時代のワイキキの歌。邦題は「珊瑚礁の彼方に」で知られる「Beyond the Reef」。

一部最後の曲は、「皆さんが想像するハワイらしいハワイの曲ということで、Waikikiをお届けします(マラカニさん)」。

休憩中に司会者より蘊蓄を披露。さまざまな挨拶に使われる「アロハ」ですが、「アロ」とは人がそれぞれ持っている哲学や思想を意味し、「ハ」とは文字通りハァーッと息を吹きかけ、それを他人に与えることを意味しているのだそうです。そのような深遠な意味があったとは思いもしませんでした。

二部の開始です。いわばハワイの演歌のような曲で、カネオヘのご当地ソング「Aloha Ku`u Home Kaneohe(アロハ クウ ホメ カネオヘ)」です。

唱歌「浜辺の歌」。一番はマカラニさんがハワイ語で、二番は日本語で皆さんと合唱です。「皆さんが一緒に歌って下さると鳥肌が立って、泣きそうになる」と感激のお二人。ハワイの人と日本人は、感性的にも似通っていて、心の琴線に触れる部分が一緒のような気がするとマカラニさん。

現代風のハワイアン「Makin Love」、続いて「`Ihiuka(イヒウカ)」。スラックキーギターの醍醐味、オープンチューニングとオープンチューニングで波のような音の演奏です。また、「Ku`u Lei Awapuhi(クウ レイ アワプヒ)」というミョウガに似ているとても品の良い香りのする花の歌も。

10月に何と5時間にも及ぶスラックキーギターの大会があるのだそうです。「ギターそのものに初めて触れたような初心者の方も沢山でていて、その大会に人生を賭けているといった意気込みが感じられ、長丁場ですがギターそのものより人生を見ているようでとても感動します」とカリフソさん。

ハワイの木陰で女の子がウトウトするという曲、「Pua O`lena(プア オレナ)」。

一部最後の曲、「Kohala March」。元気な曲で1900年代にできました。皆さんのノリがよいので大喜びのマラカニさんとカリフソさん。

アンコールは、有名な曲「Aloha O`e」。この曲の作者はハワイ王朝最後の女王リリウオカラニで、作曲家としてもとても才能のあった方だそうです。お客様の盛大な拍手のうちに今宵の素敵なコンサートも幕を閉じました。

弊社会長細田敏和より閉演のご挨拶。「わたし自身は演奏が大変気持ちよく幾分こっくりしながら聞いていました。音も良いし、ギターの波のような音も癒しになったと思います」。ハワイアンの場合、演奏や歌が素晴らしいととてもリラックスして波打ち際で寝そべっているような気分になるのかもしれません。マカラニさん、カリフソさん、素晴らしい演奏をありがとうございました。