第203回千代田チャリティ・コンサート

奇跡のような巡り合いの中で
人・音楽・自然

コンサート当日は、曇り空でしたが最高気温が20℃を下回るという過ごしやすい一日となりました。目前に控えた梅雨を吹き飛ばし、一気に夏に突入するような意気込みでコンサートに出演していただくのは、かねてより出演を熱望されていた日本フィル交響楽団の主席トロンボーン奏者・藤原功次郎さんです。


これまでのどの出演者よりも早く会場入りをし、直前まで練習を続けるという熱心さ。コンサートが始まれば、底抜けに明るく、元気なお人柄に会場全体が包まれたかのようでした。
今回のコンサートのテーマにもありますように、藤原さんは「人との出会い」をとても大切にされています。コンサートに駆けつけてくれた金管五重奏のお仲間についても、「みんながいるから演奏ができる、支えられているから演奏ができる、とてもありがたかった!」と感謝の言葉を述べる藤原さん。


オーストリアでの国際コンクールで優勝された比類の無い実力に加え、終始笑い声の絶えないとても明るく、楽しいコンサートで、藤原さんが音楽に込めた熱気がパワフルに伝わってくる2時間でした。「ハートウォーミングな元気印」- そんな印象をお客様の誰もが抱いたのではないでしょうか。


音を楽しむと書いて「音楽」、その音楽をお届けする熱い想いを持ち、明るく、パワフルな「人」がいたのでした。音楽と共に「人楽」も届けていただいた藤原さんに感謝!

 フォトレポート

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第203回コンサートのテーマは、「「奇跡のような巡り合いの中で。人・音楽・自然」」。

司会者によれば、本日の出演者・藤原功次郎さんは13時頃に入ってから、コンサートの直前までずっと熱心に練習されていたとか!トロンボーンなど金管楽器のソロは当コンサート初となります。

オープニングはルドルフ・ジーツィンスキー作曲「ウィーン我が夢の街」。藤原さんが2012年にウィーンの国際コンクールに出場したときに、街でかかっていたそうです。大好きで大切な曲。

2曲目は、ベートーベンのピアノソナタ「悲愴」第2楽章。ベートーベンがウィーンに住んでいた頃、ハイリゲンシュタットでこの曲を書きましたが、近くにある教会の大きな鐘の音がすでに聞こえなくなっていたそうです。

この曲は藤原さんが中学一年生のときに亡くなられたお父上が大好きな曲だったそうです。「乗り越えられない悲しみはない」という言葉を残したベートーベン。藤原さんもこの曲に癒されたことでしょう。「この辺で父が演奏を聴いていると思います」と藤原さん。

NHKで現在放送中の大河ドラマ「軍師官兵衛」で使われている曲のトロンボーンのパートは、なんとすべて藤原さんが演奏されています!ドラマから2曲、「時の策略」と「軍師官兵衛・メインテーマ」を演奏。作曲家の菅野 祐悟さんが、藤原さんのために書いてくれた曲が「時の策略」です。ひらめきや葛藤をトロンボーンの音色で表現しています。

一部最後の曲となりました。若手の作曲家坂東裕太さんが、このコンサートのために書かれた曲で「体操」という曲です。音と音としての「体操」、視覚的な演奏の動きとしての「体操」、そんな点を表現したトロンボーンのための曲です。

まさに「体操」をしたかのように汗だくになって演奏された藤原さん。ピアノの原田恭子さんとともにお客様の盛大な拍手に応えます。二部への期待が高まります。

衣装も一部とはがらっと変わって、カジュアルなスタイルでの登場です。二部のオープニングは、サンババージョンの「Over the Rainbow(虹の彼方に)」。

今回、藤原さんの演奏をサポートして下さる同じく東京藝術大学出身のピアニスト原田恭子さん。ソリストとして、また室内楽ピアニストとして国内外で意欲的な活動を展開し、幅広いレパートリーをお持ちです。

皆さんを笑いに誘いながら、サンバのリズムや曲について説明する藤原さん。明るく、優しいお人柄が全面に出たMCも藤原さんのコンサートの大きな魅力のひとつです。

映画でも有名なヘンリー・マンシーニ作曲の「ひまわり」。トロンボーンは最も人の声に近い楽器と言われ、元来、教会で唯一演奏することが許され、神様に近い楽器とされていたそうです。

想いのこもった熱演で汗だくになった藤原さんに、弊社会長細田よりハンカチが手渡されるというハプニングが!

東京藝術大学時代の藤原さんのお仲間で作られたBrass Ensemble “ZERO”の皆さんが急遽駆けつけてくださいました。うれしいサプライズです。曲は金管五重奏バージョンの映画「ジュラシックパーク」のメインテーマです。

プッチーニ作曲の歌劇トォーランドットより「誰も寝てはならぬ」。トロンボーンがテノールの役割をします。「寝ないでくださいね」と藤原さん(笑)

金管五重奏を振り返って、みんながいるから演奏ができる、支えられているから演奏ができる、とてもありがたかった、そしてメッチャ気持ちよかったですとお茶目なコメント。

金管五重奏の最後の曲は、とてもハードで真夏の曲のイメージを持つ「メキシコの音」。お客様も五人の金管パワーをいただいたのではないでしょうか。

弊社会長細田との出会い、自分の父親のように応援して下さると藤原さん。オーストリアの国際コンクールで優勝したときの曲「カラーズ」が最後の曲となります。この曲はきょうのコンサートで何が何でも絶対演奏すると決めていた思い入れの強い曲だそうです。

弊社より花束贈呈。満面の笑みを浮かべ、汗だくの藤原さん。お客様も満足されたことが、その大きな拍手に表れていました。

アンコールは贅沢にも2曲ありました。最後の曲は「皆様に感謝をしながら、皆様の幸せを祈りながらこの曲をお送りしたいと思います」とのことで、皆様ご存知の「Amazing Grace」です。藤原さんの音楽とお人柄に、癒しと元気をいただいた2時間、とても充実していました。

弊社会長細田よりご挨拶。「あっという間の2時間で、本当に素晴らしい演奏でした。藤原さんには今年の4月に日本フィルの方と共にサプライズで、自分のお誕生日を祝って頂き大変感激致しました」とのこと。藤原さん、細やかなお気遣い、そして素晴らしい今宵の演奏をありがとうございました。