第205回千代田チャリティ・コンサート

ピアノに絡まる『和』のテイスト
一尺八寸が繰り出す響きの魔法

夏本番を前に大変蒸し暑く寝苦しい毎日が続いております。そんな暑さの中、今年前半を締めくくるコンサートに、多くのお客様がお越しくださいました。


尺八の白倉 柳一さん、ピアノの潤賀 貴代美さんからなるデュオ『らくら』のお二人をお迎えし、「ピアノに絡まる『和』のテイスト。一尺八寸が繰り出す響きの魔法」と題して皆様がお聞きになったことのないような演奏をお聴きいただきました。和楽はもちろん、ボサノバ、タンゴ、クラシック、ジャズ、歌謡曲、賛美歌、唱歌と実に幅広い楽曲が演奏され、尺八でこれほど広範囲な音楽を表現できるのか!と、まさしく目からウロコが落ちまくるといった感じでした。


お客様も今回は、白倉さんと潤賀さんの演奏を聴く度に、その都度新たな発見と感動があり、想像していた以上に楽しまれたのではないかと思います。白倉さんが、曲の解説で「雄大な自然の中での風、滴る水滴、川の流れなど情景を尺八で演奏します」と言っておられましたが、尺八は情景描写に優れた楽器であることを皆様も感じ取られたのではないでしょうか。


弊社会長細田が、「尺八に対する概念が変わって、色々な可能性があることを感じた」と申しておりましたが、さまざまなジャンルの演奏を聴いていると、尺八が今まで聞いたことのない新しい楽器に思えてきたから不思議です。白倉さんと潤賀さんの技術、旺盛なチャレンジ精神によって新たな音楽の道を切り開かれたのだと思います。


白倉さんと潤賀さん、素敵な音楽と感動をありがとうございました。


8月は一旦お休みをいただき、コンサートは9月再開となります。また、元気にお目にかかりましょう!ご支援ありがとうございました。

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第205回コンサートのテーマは、「ピアノに絡まる『和』のテイスト。一尺八寸が繰り出す響きの魔法」。

司会者はリハーサルを聴き、皆様はおそらく目からうろこという印象をもたれるだろうと予言?!自分の思っていた尺八のイメージを大きく覆されるような感動ものだそうです。期待に胸が膨らみます。

オープニングは「春の海Jazz」。お正月などによく耳にする「春の海」ですが、途中からスペイン音楽を織り交ぜてのJazz演奏となりました。初めて聞く組み合わせ。白倉 柳一さんの尺八と潤賀 貴代美さんのピアノ、新鮮です。

潤賀さんのMC。しばらく夏っぽい音楽のお届けとなります。2曲目はボサノバで有名な「イパネマの娘」。尺八でイパネマの娘?と思ったのですが、見事にボサノバの音楽と一体化した素敵な曲になっていました。

アルゼンチンタンゴの名曲、「ラ・クンパルシータ」。この曲は4拍子で踊るための曲ですが、後で演奏されるピアソラのタンゴは“踊れないタンゴ”といわれているそうで聞きくらべてみてくださいと白倉さん。

ピアソラの曲はかなり大人の雰囲気で、じっくり底からわき上がってくるようなもの悲しさや哀愁を帯びたメロディーで聞いていて涙がでそうになります(潤賀さん)。「オブリビオン」、そして有名な「リベルタンゴ」と続きます。

ここで白倉さんより、尺八について解説がありました。竹を「一尺八寸」のながさに切るところから、「尺八」と呼ばれるようになったそうです。

「鶴の巣ごもり」。江戸の中期の頃には、すでに成立していたと言われる旋律です。演奏に二十分を要する曲ですので、間違いなく皆さんを眠りの世界に誘う曲ですので(笑)、きょうは5分くらいの白倉バージョンでお届けします(白倉さん)。

尺八の楽譜を皆様にお見せする白倉さん。一般の五線譜に書かれている曲を演奏する場合、白倉さんは尺八の楽譜に翻訳して演奏するそうです。

日本では平原綾香さんの歌で、一般に知られるようになったホルストの「ジュピター」が一部最後の曲となりました。わたしたちが尺八に対して抱いていたイメージが大きく変わった一部でした。

お二人とも雰囲気を変えて、涼しげで素敵な衣装に替えてのご登場です。二部1曲目は、「サマータイム」。ジャズを尺八で。この曲に完全にマッチしていて、白倉さんの尺八を見ていると段々尺八が別の楽器に見えてくるから不思議です。

霧島は九州の地名ですが、お酒の霧島のCMに使われた曲「霧島」を演奏します。バイオリニストの葉加瀬太郎さんの作曲です。元々はバイオリンとピアノのために書かれた曲ですが、九州の雄大な自然の様子を尺八で表現します。

鍵盤ハーモニカの説明をする潤賀さん。皆さんご存知の名称ピアニカは商品名だそうです。3曲目は葉加瀬太郎さん作曲の「情熱大陸」。潤賀さんが鍵盤ハーモニカとピアノの両方の演奏をこなします。

さらに鍵盤ハーモニカとピアノの両刀遣いで、「くまんばちの飛行」を潤賀さんがソロ演奏します。この曲は演奏者が己の技術の限りを見せるときに演奏する曲とか。

メッセージ性を持ちつつも本当に美しい曲という「さとうきび畑」。森山良子さんの歌でもヒットした曲なので皆様もよくご存知の曲です。

これを聞くととても元気になるという美空ひばりさんの「お祭マンボ」。この曲はジャニーズの忍者がカバー曲を歌っています。潤賀さんはジャニーズバージョンのほうをよくご存知とか。

尺八で「アメージンググレース」?と聞く前はよくイメージできなかったのですが、尺八で祈りを表現したいという白倉さんの言葉通り、この曲の本質をついたような見事な演奏でした。

最後の曲となりました。白倉さんが作曲家のみながわちかこさんに曲作りをお願いしてできた「悠久の廻り」。みながわさんが当時お子様が誕生されたこともあり、命の廻り、冬から春へ草花の命が受け継いでいくその姿に感動して曲を作られたそうです。

演奏後、ディレクターさんがお二人の演奏を讃えます。お客様からも大きな拍手が起こります。

アンコールは「浜辺の歌」。お客様のアンコールを求める拍手が盛大なため、続けてスメタナの「モルダウ」、そして「上を向いて歩こう」とこれでもかと尺八の魅力を楽しませてくれました。

弊社会長細田敏和より閉会の挨拶。『はじめは「尺八?ピアノ?」と思ったんですが、ここに来て聞いてみると本当に感動いたしました。これまでの尺八に対する概念が変わって、色々な可能性があることを感じ、もっともっと聞いてみたいと思いました』。8月はお休みをいただき、また9月に元気にお目にかかりましょう!