第191回千代田チャリティ・コンサート

アンダルシアから届いた情熱のメロディ
若きハポネス(Japonés)が伝えるヒターノ(Gitano español)の魂

当日は曇りでしたが、最高気温が23℃、春のコンサートを楽しむにはふさわしい暖かな一日となりました。お集まりいただいたお客様の表情も心なしか、寛いでおられる印象を受けました。


今宵は、20歳から25歳まで、本場スペインでフラメンコ・ギターの勉強をされた大山勇実さんをお迎えして、ギター一本でおもにフラメンコ曲を味わって頂くコンサートです。口べたでとても緊張されているとのことでしたが、フラメンコ音楽になじみのないお客様にも、わかりやすく曲の解説をしていただきました。


フラメンコはご存知のように、歌(カンテ)、踊り(バイレ)、拍手(パルマ)そしてギター(トケ)から構成されますが、50年前にパコ・デ・ルシアが確立したギター奏法のおかげでギターにも脚光が当たるようになったそうです。
ギター一本でフラメンコを表現する心意気と、その本場仕込みのテクニックをお客様も充分堪能されたのではないかと思います。


また、大山さんの曲の解説を通して、スペインの各地方毎に多様なフラメンコが生まれたことを知り、やはり音楽は民族の伝統と歴史に根ざすものなのだとあらためて思い至りました。
フラメンコ音楽に造詣の深くないお客様にも、興味を持つ架け橋となっていただいたようで、本当にありがとうございました。

 フォトレポート

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第191回コンサートのテーマは、「アンダルシアから届いた情熱のメロディ。若きハポネス(Japonés)が伝えるヒターノ(Gitano español)の魂」。

先月に続き、今月もいつもの司会者は出張のため不在です。ピンチヒッターの司会者が進行を勤めさせていただきました。フラメンコの「オーレ!」「ビエン!」など賞賛のかけ声について説明がありました。

オープニングは「ソレア」。12拍子のこの曲は、「フラメンコの母」と言われる曲で「ソレア」とは孤独という意味だそうです。

曲間で解説をする大山勇実さん。フラメンコ音楽には造詣の深くないお客様のために、スペイン滞在のときのお話しも交えてわかりやすくせつめいして下さいました。

2曲目はジプシー・キングスの演奏で有名な「ルンバ」。3曲目は「サパテアード」。フラメンコは歌が最も重要と言われていますが、50年ほど前にパコ・デ・ルシアが確立した奏法でギターに脚光が当たるようになったそうです。

「アルハンブラの想い出」。クラシック・ギターの世界では一、二を争う名曲で、トレモロ奏法が最も重要な曲とか。その弾き方について説明がありました。大山さんは、トレモロはアルハンブラ宮殿の噴水の表しているのではとお考えです。

フラメンコには関係ない曲ですがということで、1950年代にヒットしたアメリカの曲で「イフ」。やさしい音色が心地よく響きます。

フラメンコにおける拍子の流れについて、大山さんが一生懸命説明して下さいました。また、かけ声の「オーレ!」はいつ掛けるものなのかなども。「オーレ!」はフラメンコのシメで使われます。

一部最後の曲、「ブレリアス」。世界最速の三拍子といわれる軽快な曲、大山さんが見事に演奏します。素人が見ていると指がつりそうです(笑)。盛大な拍手のうちに、一部が幕となりました。

二部開始。曲からスタート。スペインではそれぞれの県で発展したフラメンコがあります。アンダルシアは日本で言えば九州に相当し、その東部の鉱山労働者の歌だった「タランタ」を演奏します。

休憩中にお客様から爪に関する質問があったとのこと。弦を弾く右手の爪は、接着剤を用いて補強しているそうです。接着剤はスペイン人も使っている日本の釣り用の接着剤がベストだそうです。

続いてギターの説明も。クラシックギターと基本的に変わらないそうですが、材質が異なります。また、演奏中ギターを叩くので下敷きが貼ってあり、これがないとおそらく割れてしまうそうです。


フライフィッシュとビールが有名、空も真っ青、人も明るい町ーアンダルシア地方の西部の港町カディスで生まれた曲で「アレグリアス」。12拍子のフラメンコでは珍しく明るい曲だそうです。

フラメンコ音楽にとって欠かせない手拍子(パルマ)について説明する大山さん。乾いた音、湿った音の出し方を教えて頂きました。スペインではパルマだけで食べている人がいるとか。抜群のリズム感がないとできないそうです。


雰囲気を変えて日本の曲「涙そうそう」、「スイート・メモリ」、「夜空の向こう」、そしてフラメンコ曲「ソレア・ポル・ブレリア」を続けての演奏です。

クラシックギターの世界ではもっとも人気があって、よく弾かれる曲「タンゴ・アン・スカイ」。お客様もどこかで聞いたことがあるといった様子でうなずかれていました。

本当のフラメンコの曲を演奏しますとのことで、曲は「タンゴ・デ・グラナダ」。グラナダ地方のタンゴという意味です。大山さんの熱のこもった演奏にお客様の大きな拍手です。

弊社より花束贈呈の後、アンコール曲は「パナデロ・フラメンコ」。ギター一本で存分にフラメンコの雰囲気を味わって頂けたのではないでしょうか。お客様の盛大な拍手のなか、コンサートが終了しました。

弊社社長細田より閉会のご挨拶。「25歳の不思議な若者。雰囲気がとても良かった。フラメンコをギターだけで聴くと美しさを感じ、これから聴き直さないといけないと思いました」とのこと。本日はご厚志もたくさん賜りまして、本当にありがとうございました。