第184回千代田チャリティ・コンサート

秋の夜にアコーディオンで奏でるシャンソンをあなたに

先月、お休みをいただき2ヶ月ぶりのコンサートとなりました。多少残暑が残るものの秋を思わせる当日となりました。
今宵はアコーディオンの伊藤ちか子さんをお招きして、秋の夜にぴったりのシャンソンをじっくりと味わっていただきました。


司会者が「きょうはパリづいてお帰りください」と言い、また弊社社長細田が「昔、初めての海外出張でパリに行き、かぶれて帰ってきました」と言うように、シャンソンを聴くとパリの情景が自然に想い描かれるのではないでしょうか。


アコーディオンだけのシャンソンを聴くというのは珍しいようにも思えたのですが、伊藤さんの演奏を聴きながら心のなかでは歌を聴いているような気分で、歌があるよりむしろ楽曲が肉薄してくるというのでしょうか、あるいは曲の手触りを肌で感ずるような感覚でした。


伊藤さんの演奏は素晴らしいことはもちろんですが、曲の解説がほんわか暖かみのあるお人柄が反映されているようで、思わず引き込まれてしまいました。曲はどれも皆様になじみのあるものばかりで、お客様も伊藤さんの演奏に合わせて口ずさみ、会場全体が暖かな雰囲気に包まれました。


お客様もすっかり「パリづいて」お帰りになられたことと思います。伊藤ちか子さん、ありがとうございました。

 フォトレポート

写真をクリックすると拡大表示されます

第184回コンサートのテーマは、「秋の夜にアコーディオンで奏でるシャンソンをあなたに

8月はお休みをいただきましたので、2ヶ月ぶりのコンサートとなります。司会者よりご挨拶。アコーディオンの発祥は中国の笙ですが、現在のアコーディオンの原型は1822年にドイツでつくられたとのこと。

伊藤ちか子さんご登場。オープニングは「巴里祭(巴里ではどんな場末でも)」。1932年のルネ・クレールの映画「巴里際」の主題歌です。伊藤さんのリクエストで、当ホールは音響効果がよろしいとのことで、本日は音響設備なしでの演奏となりました。

イブ・モンタンが好んで歌っていた曲「パリのいたずらっ子」、そして「詩人の魂」と続きます。「詩人たちが亡くなった後もずっと、ずっと、ずっと長い間、詩人たちのシャンソンはまだ街に流れている(詩人の魂)」と詩の朗読もありました。

1930年代を代表するシャンソンでリュシエンヌ・ボアイエの歌「聞かせてよ愛の言葉を」、また同じ年にヒットした「二人の恋人」。二人の恋人は、当時黒人レビューが流行っており、ジョセフィン・ベーカーのために作られた曲です。

「街角」、シャルル・トレネが紙も切れ端に15分くらいで書き上げた曲だそうです。シャルル・トレネは「詩人の魂」も作曲しています。

アコーディオンの中身について伊藤さんから説明。大きいハモニカがいくつも入っていて、それをフイゴで風を送って音を出しています。ボタンはベースと和音のコードがあって、組み合わせ次第でいろいろな音を出せるようになっています。

ジャック・ブレルが作詞/作曲した田舎町の情景を描かれた「アムステルダム」、そして日本では女性のシャンソン歌手の定番となっている名曲「サンジャンの恋人」の演奏です。

演奏前に毎回丁寧な解説をしてくださる伊藤ちか子さん。シャンソンは皆さんどこかで必ず聴いてはいますが、尋ねられればハテナ?というところ。その隙間を旨く埋めてくださいます。

お客様も一緒にメロディーを口ずさんでおられたエデイット・ピアフの「バラ色の人生」、そしてロートレックを主人公に描かれた映画の主題歌「ムーラン・ルージュ」です。お客様もくちずさみながら参加するほんわかムードの内に一部終了となりました。

2部開始です。パリの○○の下シリーズが3曲続きます。「巴里の屋根の下」、「巴里の空の下」、「巴里の橋の下」。フランス語と言われても難しいので、鼻歌でも歌われたい方はどうぞ遠慮無く、との伊藤さんの言葉に誘われて会場は鼻歌の合唱へ。


1958年の曲でダムで沈んでしまった村を描いた映画「河は呼んでいる」の主題歌です。ギー・ベアールの作曲です。

解説も愉快に軽やかです。ダンスミュージックが3曲続きます。いかがわしい下町のダンスホールで演奏されるような(伊藤さん談)「真実のミュゼットワルツ」、「ラ・ヴァルサジョー」、パリをけなすかしでありながら実は誉めているという「パリカナイユ(パリ野郎)」。

有名な「枯葉」です。はじめは無名の曲で、3年掛かって大ヒットしたのだそうです。失ってしまった恋を枯葉などの無くなってしまったものに譬えた歌詞の内容となっています。お客様もシックな雰囲気に浸っている様子でした。

エディット・ピアフの曲が続きます。そのメロディーが四六時中わたしを追い回すと歌った「パダン...パダン...」、年増の娼婦が若い水兵を励ます歌「ミロール」。ミロール(Milord)は英語のMy Lordから来ている言葉で「だんな」といった意味とのこと。

最後の曲、エディット・ピアフの「愛の賛歌」に続いて、盛大な拍手のもとアンコール曲は去りゆく夏に寄せて、なんと日本の曲で「浜辺の歌」。皆さんのご唱和で会場はほんわかあたたかく盛り上がりました。伊藤ちか子さん、ありがとうございました。

弊社社長細田よりご挨拶。「34年前に初めての海外出張でパリに行き、かぶれて帰ってきました。また行きたい。シャンソンはほとんど聴いたことのあるものばかりです。それだけ日本とフランスの関わりが深いということなのでしょう。良い音楽を聴かせてもらいました」。