第162回千代田チャリティ・コンサート

咲き乱れる妖艶な華

神秘的な空間に流れる美声と音色


今夜はあのカルメン・マキさんをお迎えして朗読と歌のコラボをお届けしました。ピアノは田中信正さん、ヴァイオリンは喜多直毅さん、そしてドラム/パーカッションは岡部洋一さんです。


詩の朗読があってそれを受けて歌を紡いでいく、マキさんの創り出す物語性のある独自の世界に魅せられた、そんな印象を受けました。いままで聴いたことのない深みのある音楽を聴いたようです。


昨年はデビュー40周年で記念アルバム「ペルソナ」も発表されました。今夜のコンサートでは、これまでのマキさんの集大成でもある歌と演奏が披露され、往年のファンもまた若いファンも十分満足されたことと思います。


40年間、マキさんが追い求め、進化と深化を続けた音楽のカタチを当コンサートで聴くことができたのは大変幸運でした。マキさんと他のプレーヤーの方がひとつになった演奏も、まるで一期一会であるかのような緊張感があって二度と聴けない思いがしました。素晴らしいコンサートをありがとうございました。

 フォトレポート

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第162回コンサートのテーマは、「「咲き乱れる妖艶な華。神秘的な空間に流れる美声と音色」」です。

前回は本業のためお休みだった司会者が登場。今回は久々にコスプレがありません。カルメン・マキさんのプロフィールなどの説明がありました。

弊社社長細田敏和より皆様へご挨拶。2000年にBSで放送されたカルメン・マキさんのライブ映像をDVDにしてマキさんにプレゼントしたそうです。社長も「本当に来ていただけるのか?」とドキドキしながら、楽しみにしていたとのこと。

オープニングから詩の朗読と楽曲が融合した大作です。はじめに中原中也の「北の海」の朗読、そしてマキさん作詞による「人魚」へと歌が続きます。マキさんの朗読に思わず引き込まれ、神秘的で情景が見えるような世界へと導かれました。

ブラジルの民族楽器「ビリンバウ」をドラム・パーカッションの岡部洋一さんが演奏します。弓を棒で叩いて音を出すそうです。心なしか解き放たれたような、広がりをもった曲調に変わっていったようです。珍しい楽器ですね。

ピアノの田中信正さん。田中さんのピアノもまたマキさんの朗読と楽曲との融合に彩りを添えています。個々のプレーヤーが独創的でありながら、カルメン・マキさんの音楽の世界で調和している印象を受けました。

マキさんの恩師である寺山修司さんの「海の詩学」の朗読から始まります。

朗読の後、ゴスペルで有名な「Sometimes I Feel Like a Motherless Child」を魂の底からわき上がるような歌い方で唄い、すぐに続けてまるでひとつの歌であるかのようにデビュー曲でもある「時には母のない子のように」とつながっていきます。

再び、ゴスペルの歌に戻り、また朗読、そして歌。朗読と歌が織りなすタペストリーのようです。見事な一大叙事詩となっていることに気付きました。聴くというより「体験」した気分です。マキさんも「二度とできない演奏でした」とコメント。

朗読と歌と演奏のコラボが続きます。「真夜中の花」- 孤独を抱え込んだ女性の眠れない夜をイメージされたそうです。そして前半最後の曲へと続きます。そのどちらも、マキさんの歌はもちろんですが、喜多直毅さんのバイオリンがアクセントとなり、聴く者の心に響きます。

後半のスタートです。今年の1月17日にお亡くなりになった、マキさんが最も尊敬していた浅川マキさんの歌を3曲続けます。同じ「マキさん」ということで大マキ、小マキ(カルメン・マキさん)と呼ばれていたそうです。

浅川マキさんとかまやつひろしさんの合作による「にぎわい」。田中信正さんのピアノが光ります。

「不幸せという名の猫がいる」。これも寺山修司さん作詞によるものです。不幸せという名の猫がいつも自分にぴったりと寄り添っているから、自分はひとりぼっちじゃない、そんな歌詞が印象的でした。

朗読とのコラボで「かもめ」。浅川マキさんへのオマージュと追悼の気持ちが聴いている私たちにもしみじみと伝わってきました。

バイオリンの喜多直毅さん作曲の「ありがたき不幸せ」を演奏中のドラムの岡部洋一さん。とてもリズミカルなドラムにお客様ものっています。

ラストはオズの魔法使いで有名な「Over The Rainbow」をカルメン・マキさん風にアレンジされとても深みのある曲調となっていました。バイオリン、ピアノ、ドラムとそれぞれの楽器の秀逸なアドリブ演奏が展開され、マキさんの圧倒的な歌と演奏で幕を閉じました。