一編の詞に込められた‘こころ’を謳う

　拝啓　昨年の１１月に気象庁が発表した３ヵ月予報では暖冬のはずだったのですが、反して今年は例年になく寒い冬となりました。それでも３月後半を迎えてからは一気に気温も上がり、東京のソメイヨシノは平年よりやや開花時期が早かったとのこと。いよいよ全国各地から花のたよりが届くことでしょう。４月のコンサート開催日頃には、さくら前線は青森あたりでしょうか。北国に春が訪れるのも間もなくです。


　さて第２１３回のコンサートは、シンガーソングライター岩井芙沙代さんによる“ピアノの弾き語り”をお届けします。岩井さんはいろいろなアーティストの楽曲もカバーしていますが、やはりその魅力は、詞に込められたメッセージを大事に活かした、感性に満ち溢れたオリジナル曲にあると思います。彼女に提供される詞には、人に対する慈しみや生き方そのものを深く考えさせられるようなものから、何気ない日常の中に‘あるある’と思わず微笑んでしまうような風景描写まで様々なものがあります。そうした「詞」が持つ息遣いのようなものを、ある時はしっとりとしたメロディで描き、またある時は茶目っ気たっぷりにアレンジして、何よりメロディが決してでしゃばることなく「唄」を届けようとする姿勢はまさに「弾き語り」そのものです。カバー曲以外はおそらく初めて聞くものばかりかもしれません。


　今回はラジオパーソナリティとして培われた豊かな語りを交えながら、唄の持つ魅力に出会う最高の瞬間を、皆さんにお届けいたします。どうぞご期待ください。